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学校法人新静岡学園は、静岡県藤枝市と磐田市に静岡産業大学(総合研究所を含む)2キャンパスを擁し、静岡市の静岡学園中学校・高等学校と合わせて計3キャンパスから成る総合教育機関です。2011年に新静岡学園として掲げられた理念には「『東海に静岡産業大学あり』と言われる、小粒だがキラリと光る個性ある存在になる。新しい大学を創造し、大学の新しいモデルとなる」とあり、先端的な水準の教育を行うべく2学部5学科17コー スの多彩なカリキュラムを提供しています。
2012年に中学校・高等学校が移転した際、まず、中高一貫教育の静岡学園では教員全員にiPadを配布。出欠管理、情報共有など教務手帳をデジタル化することからスタートしました。ところが、ロードバランスやローミングに関連したトラブルが多く、まずは無線環境を安定させることが重要課題となりました。
一方、大学でも、教員にPCやタブレットを用いた教育アプリ等を利用するための無線ネットワーク環境を提供する必要が生まれ、1998年から大学が4年制へと移行し、情報学部では入学時から学生にノート PC を必携と定めたため、学生間で「大学に行けばインターネットにつながる」と意識させたことも、環境整備の問題がつきまとうことになりました。
「負担が増えると、どうしても本業が疎かになってしまう。3キャンパスをすべて同環境にし同タイミングでネットワークを更改することで、運用管理の負担を軽減し、教育に供する時間をさらに増やしていこうと考えました。」
静岡産業大学情報学部 教授 ICT 研究機構長 総合研究所副所長 博士(工学)
佐野 典秀氏
県内に3キャンパスを抱える新静岡学園は、各キャンパスのネットワーク管理者がそれぞれ設定・管理・トラブルに個別に対応をしていましたが、その業務に無駄が多いと感じていました。例えば、授業中であるにも関わらず、ネットワークがダウンしたと管理者室に駆け込んでくる教員の対応や解析等のため、時には復旧までに数時間待たなければならず、授業を休講にせざるを得ない状況に陥ったこともありました。
「現場にいなければ対応できないトラブルが多い上に、キャンパス間の運用管理者間での情報共有も少ないことから、ネットワーク管理にかかるマンパワーを最小限にするための運用の自動化を推し進める更改計画を打ち出し、運用管理を兼任でサポートする教員に、本来業務の教育に専念いただく時間が増えることを期待していました。」
「ネットワーク環境に何かあったときに遠隔からでも状況がわかる、手が打てる、というソリューションを求めていた時に Cisco Meraki を知り、これは使える、マンパワーの省力化が実現できるかもしれないと期待が高まりました」(佐野氏)
「今では、従来のような管理者の経験と直感に頼った運用施策ではなく、明確なエビデンスを基にユーザも納得する形で運用管理の適切な方策が打てるようになって来ていると強く感じています。」
(佐野氏)
新静岡学園では、中高大の3つのキャンパスに Cisco Meraki (以下、Meraki) の MR アクセスポイント(以下、AP) を237台、MS スイッチを72台、MX セキュリティアプライアンスを3台、端末管理用に Systems Manager EMM (MDM) を導入しました。
選定にあたり、Meraki を始め、多数の他社製品もキャンパス内で 実地検証しました。「中でも Cisco 製品の電波の安定性は抜群でした。」(佐野氏)
また、スイッチの選定についても「APをMerakiと決定した段階で、スイッチもMerakiを選択しました。有線無線問わず、トータルで全工程が可視化できるというMeraki の利点を活かした選定ですから、スイッチだけ他社製品を入れるという考えはありませんでした。」(佐野氏)
従前の環境では、「ネットワークに繋がらない」「教室間でローミングがうまくできない」といった問題点があったため、新環境のAP配置のデザインについては、各教室の利用用途や、どれだけのデバイスを持っている学生が集う授業なのか、等も考慮し最適化を図りました。「工事についても、文部科学省の補助金申請・認可との兼ね合いもあり、2ヶ月という短期間での実装となりましたが、パートナーさんにご尽力いただき、晴れて3キャンパスすべてで、同じタイミングで同構成のネットワーク環境を整えることができました。現在、Merakiを導入して、一貫して可視化ができていること、そして通信量や利用アプリを即座に確認できることは、日々 の業務に大変役に立っています。」(法人事務局システム改革担当課長(情報セキュリティスペシャリスト)増井寿一氏)
「管理すべきものはすべて Systems Manager を利用したいと考えています。実際にソフトウエアやアプリケーションがどのように使われているのかを把握できるのはとても魅力的です」
(増井氏)
現在、APは教室、図書館、食堂など、全キャンパスの屋内外に設置されています。高校のグラウンドには、Meraki の屋外専用 AP (MR72) を設置し、主にサッカー、陸上、野球などの課外活動の顧問がiPadを用いて動画や資料などを見せながら指導しています。
また、現状のトラフィックや通信量が可視化されたことやヒートマップでの分析・解析により、今後の学内のネットワーク環境をより良くしていくための基礎情報が収集できるようになったことは、「将来の予測や方向性を分析できることも大きな利点だと思っています」と増井氏は語ります。
ダッシュボードからトラフィックデータを把握することで、「ネットワークの帯域を使いすぎない様、制御をすることもできるようになりました。例えば、学生が学内で個人の端末を接続する際の利用申請時に登録されたMACアドレスにより、個別の利用状況が簡単に把握できるようになったため、通信量が多い人には制限をかけたり、警告が出るように設定しています。」(増井氏)同データを用いて、授業の時間割とトラフィック使用量の相関関係を割り出すことや周期性の分析を行うことで、スケジュー リング機能を使ったネットワーク管理も実施されています。
2012年に中学・高等学校で教務手帳をデジタル化した際、教員がiPad端末キッティング及び管理を兼任していたため、授業の準備等、本来の業務でも多忙な中で想定以上の手間と時間がかかってしまいました。その経験から、大学でも、前々からクライアントの設定・管理ができる端末ツール(MDM)を導入していましたが、他ベンダー提供のMDMでは活用できる機能が限られていたため、今回のネットワーク更改に合わせて Meraki の Systems Manager を採用することになりました。
「Systems Manager で最も活用しているのは、アプリケーションの利用端末やデータの量を可視化する機能です。今後も、資産管理等も含め、管理すべきものはすべて Systems Manager を利用したいと考えています。従来は、ソフトウエアやアプリケーションのライセンス保持情報は分かっていましたが、実際どのように使われているのかを把握できるのはとても魅力的です。」(佐野氏)
新静岡学園の3キャンパスのネットワークが統合され、無線環境やデバイス管理の管理負担が軽減されはじめたことから、次のシステム利活用方法の検討が進んでいます。
「Systems Manager や BLE (Bluetooth Low Energy) を活用した出欠管理を検討しています。現在の出欠管理方法は、授業ごとにパスワードを設定して、学生にパスワードの入力をしてもらうという仕組みですが、この方法だと、出席している生徒がLINE等で全員にパスワードを送付することができ、実際に本人が教室にいるかどうかが確認できません。Systems Manager を導入すれば、学生の端末を特定することができるので、出欠管理がより正確、そして簡単に行うことができると考えています。」(増井氏)
「教員・職員・学生に対する、ポリシーの設定も行わなければならないと思っています。現在は、どの立場の人がどのような使い方をしているのかを観察し、分析を続けています。」(増井氏)
「また、ポリシーも、管理者の一存で勝手に変更することはできませんので、”トラフィックが混雑してきたので制限します” とアナウンスを出すような仕組みを作れるよう、学内で提案を出しながら、教職員賛同の上で、新たなポリシー設定や通知条件を整えている最中です。新たな視点としては、時間割と教室割にも、Meraki の分析値を活かすことができるのではないかとの議論があります。」(佐野氏)
「従来は、新学期前に履修人数や授業の内容から、主に経験値を元に時間割と教室割りを行っていました。ですが、来年以降はMeraki のトラフィック利用量の分析結果もカリキュラムの検討項目に組み込んでみようと思っています。また、トラフィック利用が多い時間帯にはより帯域を開放する、逆に制御する、というような設定もしてみたいですね。」(増井氏)
屋外に取り付けられた AP を活用し、大学祭での利活用も視野に入っています。今後イベント開催時に、中庭にあるステージ上の様子をリアルタイムで中継するというような、ユニークな使い方を考えられています。
新静岡学園は、Meraki の導入により運用・管理負担を削減することができ、教育面でより充実した ICT の学習環境を提供できるようになりました。
Cisco Meraki はこれからも、教育者にとって使いやすい、よりシンプルなITソリューションを幅広く提供しながら、先進的にご活用い ただける製品の開発を目指してまいります。
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