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北海道の蘭越町、ニセコ町、倶知安町で構成されるニセコ観光圏。標高1,308mのニセコアンヌプリを頂点として連なるニセコ山系や、蝦夷富士と呼ばれる日本百名山の羊蹄山、清流日本一の尻別川などの自然環境に恵まれ、冬場はスキーなどのウインタースポーツ、夏場はサイクリングや川下りなどのレジャーを楽しむために世界中から数多くの観光客が訪れます。
さらに魅力ある観光圏づくりの一環として、同観光圏が取り組んでいるのが積極的な情報発信です。
「例えば、スキーを目的にニセコエリアを訪れた観光客には、スキー場の天候や積雪、リフトの運行状況などを把握したいというニーズがあります。従来は、スマートフォンで検索するなどして、自ら情報を確認しなければならず、海外からの観光客ともなれば、言葉の壁がある上、気軽にインターネットアクセスも行えないため、情報を得るのは簡単ではありませんでした」とニセコ町長の片山 健也氏は話します。
また、ニセコエリアはスキー場の数が多く、全山共通のリフト券で全てのスキー場を利用できることが大きな魅力となっています。そのため、各スキー場のゲレンデ入口をつなぐシャトルバスを運行していますが、天気の影響によってバスが時間通りに運行できないことも多く、スキー客を待たせてしまうこともありました。
「スキー場の状況やシャトルバスの運行情報をリアルタイムかつ、複数の言語で配信することができれば、あらゆるスキー客が、リフトの停止しているスキー場を避けて、ムダな移動や待ち時間なく、目当てのスキー場で存分にスキーを楽しむことができます。ニセコ町にはスキーヤーの安全を守るために独自に定めた『ニセコルール』というものもありますが、雪崩の危険性など、そのルールを守るために必要な情報の周知を徹底することで事故のリスクを低減することもできます」とニセコ町 商工観光課 課長の前原 功治氏は言います。
そこで、ニセコ観光圏が構想したのが、フリーWi-Fiとデジタルサイネージの設置を柱とする「ニセコエリア総合観光情報発信事業」です。
これは、駅や観光地、各地の交流施設、観光案内所など、エリア内の主要なポイントに大型のデジタルサイネージとWi-Fiアクセスポイントを設置。サイネージを通じて、スキー場の天候やリフトの運行状況をはじめ、シャトルバスの現在位置、おすすめ観光スポットやイベント情報などの様々なコンテンツを発信すると同時に、誰でも利用可能なフリーWi-Fiサービスも合わせて提供する仕組みです。デジタルサイネージに表示するコンテンツは、日本語と英語を交互に表示します。特にWi-Fiサービスに関しては、ホテル以外の外出先でもインターネットアクセスを行いたいという外国人観光客からの根強い要望もあり、長年実現したいと考えていました。
Merakiの電波は本当によく飛びます。以前は「公衆Wi-Fiはつながらない、遅い」という印象がありましたが、Merakiのアクセスポイントを設置してからは隅々まで電波が届くようになりました。
ニセコ町 商工観光課 課長
前原 功治 氏
現在、Merakiは、スキー場やホテル、観光案内所など、合計23カ所に設置されています。観光客が利用できるフリーWi-Fiサービスは全部で3種類あります。Facebook Wi-Fi認証で利用するSSID、Google認証で利用するSSID、ワンクリックで認証なしで使用できるSSIDの中から自由に選んでWi-Fiサービスを利用できます。
「ログイン用のスプラッシュ画面は簡単に作成可能。Merakiのクラウド型管理ダッシュボードのGUIは使いやすく、あらかじめ用意された画面をほんの数クリックするだけで簡単に作成できました」と藤岡氏は話します。
加えて、電波干渉を自動的に回避し、通信状態を最適化するという機能を備えているうえ、アプリケーションごとのQoS制御が可能なことなどから、通信の品質は非常に良好です。最近は動画を閲覧する利用者が多く、既存回線にWi-Fiアクセスポイントを接続している拠点では、他のサービスに影響を与える可能性もあります。そのため、動画アプリケーションだけトラフィックの上限を定めるという運用を行っています。
「以前は『公衆Wi-Fiはつながらないし遅い』という印象を持っていたのですが、そうした思い込みは覆りました。実は道の駅『ニセコビュープラザ』には以前もフリーWi-Fiを設置していたのですが電波が弱いと不評でした。一方、Merakiによるサービスを開始してからは隅々まで電波が届くようになっています」と前原氏は言います。
今後は、単にフリーWi-Fiサービスを提供するだけでなく、Merakiを通じて得られる情報を有効活用していくことを視野に入れています。というのもMerakiダッシュボードでは、電波の状態やアクセスポイントの稼働状況、トラフィックだけでなく、端末のMACアドレス検出による利用者の滞在時間や移動状況、近くを通過したモバイル端末の数、アプリケーションごとのトラフィックまでを可視化することが可能です。Facebook Wi-Fi認証を利用した場合には、利用者が公開している属性情報(年齢層、性別、お住まいの地域など)も取得することができます。
「この情報を活用すれば、どの国から来た人が、どのようなエリア内を移動したりしているかがわかります。それを活かして、デジタルサイネージのコンテンツを最適化したり、地域企業の店舗出店などの参考にしたりすることも可能になるでしょう」と前原氏は強調します。
設定変更はすべて札幌のオフィスから対応できました。ニセコエリアまでは往復で約5時間かかり、APの設置場所も分散していて作業時間も含めれば1日がかりの仕事になってしまいます。
リモート管理機能のおかげでコスト削減だけではなく、作業を大幅に効率化できました。
協和エクシオ 通信ビジネス部門 システムエンジニアリング担当 課長代理
藤岡 賢史氏
また、運用管理性の高さも評価のポイントとなりました。
Merakiのダッシュボードはインターネットさえつながる環境にいれば、いつでもどこからでもアクセスできるので、クラウドを通じてリモートから設定、運用管理を行えるようになっています。この特徴を活かせば、従来のように、機器が届くまで待つ必要もなく、管理サーバを用意する必要がない上、あらかじめクラウド上で機器設定を行っておき、現場ではイーサネットケーブルに接続するだけという設置方法が可能です。設置後に設定変更が必要になっても、現地に行く必要はありません。
「設置を行ってからサービスインまでの間に、アクセスポイントの設定変更を2回行ったのですが、いずれも札幌のオフィスから対応できました。札幌からニセコエリアまでは往復で約5時間かかり、作業時間も含めれば1日がかりの仕事になってしまいます。しかも設置場所は分散しています。リモート管理機能のおかげでコスト削減だけではなく、作業を大幅に効率化できました」と今回、システムの構築を担当した協和エクシオの藤岡 賢史氏は話します。
屋外に設置しても、ニセコの厳しい環境に耐え、安定稼働することができる上、クラウドを通じて効率的に運用管理を行える。これらのことがMerakiを採用する決め手になりました。
NTT東日本 企画部門 兼務 第二営業部門 部門長
道下 勝志 氏
フリーWi-Fiとデジタルサイネージの設置構想の実現に向け、中でも大きな課題となったのがニセコの厳しい環境です。「冬になれば、当然、平均気温は氷点下にまで下がり、大量の雪が降ります。屋外にWi-Fiアクセスポイントを設置したいと考えていた場所もあり、導入する機器には、このような厳しい環境でも安定して稼働できる耐候性・耐久性が必要でした」とプロジェクトオーナーを務めたNTT東日本 企画部門 兼務 第二営業部門 部門長の道下 勝志氏は話します。
この課題を克服するために採用されたのがWi-Fiアクセスポイント「Meraki MRシリーズ」です。
「Meraki MRシリーズには、-40℃〜最高60℃まで過酷な環境にも耐えられる『Meraki
MR72』がラインアップされており、屋外の過酷な環境でも安定稼働を実現してくれます。この点が採用の大きな決め手になりました」とNTT東日本 第四営業部門 ビジネス営業担当 営業担当課長代理の山下 芳智氏は説明します。
知りたい情報を得るだけでなく、観光客自身が情報を発信し、ニセコの良さを伝えてくれる。Wi-Fi環境の整備は、アジア最高の国際リゾートを目指すうえで重要な一歩となりました。
ニセコ町長
片山健也氏
今回のニセコ観光圏の取り組みに対する注目度は高く、すでに北海道上川町への導入プロジェクトも開始されています。もちろん、ニセコ観光圏自身も、さらなるICT活用を目指します。「将来は新千歳空港や空港バスの中でも、ニセコ観光圏の情報を発信できる仕組みを構築したいですね。これからもICTを積極的に活用しながら、ニセコ観光圏の魅力を高め続けていきたいと考えています」と片山氏は最後に語りました。
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