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収納設備メーカーとして知られる金剛。同社は、新たに稼働を開始した新工場において、IT やデータを積極活用したスマートファクトリーの実現を目指しています。そのインフラとして採用したのがシスコのクラウド管理型ネットワークソリューション「Cisco Meraki シリーズ」です。無線 LAN やカメラ映像を駆使した稼働情報の収集、監視などにチャレンジし、すでに様々な成果につなげています。
これからのものづくりは IT やデータの 活用が生命線になる。ネットワークは そのための欠かせないインフラ。Cisco Meraki シリーズにより、新たなチャレンジに向けた環境が整いました。
金剛株式会社 代表取締役社長
田中 稔彦 氏
創業の地・熊本県熊本市を拠点に、全国の図書館や学校、文化施設、医療機関、一般企業など、様々な顧客に向けて、収納棚、展示棚をはじめとする保管什器や展示什器、さらには、収蔵庫向け設備などを
開発・製造・販売する金剛。例えば、国内トップクラスのシェアを誇る「丸ハンドル式移動棚」は、床面に設置したレールで複数の棚をスライドさせながら利用することが可能で、より少ないスペースに多くの文書などを保管することができます。この仕組みを初めて開発した同社は、技術特許を取得しており、この分野のリーダー的存在です。
新しい技術を活用した新機能で什器の利便性や安全性を高めたり、日本では避けて通れない地震災害に対応した免震技術の開発にも力を入れたりするなど、同社は、長年にわたって製品や技術の強化を続けてきましたが、収納設備に対するニーズは多様化しており、それだけでは十分ではなくなってきているといいます。
「かつて、私たちの収納設備に保管するものは書籍や資料など紙ベースのものが主流でしたが、最近はそれだけではありません。文書は電子化されることが増えていますし、『美術品を保管する収蔵庫を作ってくれないか』といった依頼をいただくことも増えてきました。そのような様々なニーズに対応するには、規格化された製品を提供するだけでなく、棚の高さや幅といったサイズ、形状などを柔軟に変更させながら『多品種少量生産』が可能な体制を構えなければなりません」と同社社長の田中 稔彦氏は話します。
そこで同社は「空間づくりから価値づくりへ」という中長期ビジョンを掲げ、様々な改革を推進。その象徴ともいえるのが新たに稼働を開始した新工場です。
新工場は 2016 年 4 月に発生した熊本地震の復興のシンボルとしての役割も担っていますが、その設備にも大きな特長があります。
多品種少量生産、すなわちセミオーダーのような顧客の要求に応えていくには、設計から製造まで、あらゆる工程をスムーズに情報連携させ、生産ラインの変更などにも柔軟に対応しなければなりません。また、生産工程も複雑になるため、これまで以上に生産性を高めていく必要があります。「それには、IT やデータを有効活用した工場のスマート化が不可欠。それを実現するために、工作機械をはじめとする生産設備は最新式のものを導入し、これまでのものづくりを変えていく新たなチャレンジを開始しています」と田中氏は言います。
このスマートファクトリー実現のカギを握るインフラとなったのがネットワークです。かつて独自プロトコルで通信することが多かった工場設備の多くは IP 通信に対応し、工場 LAN で相互に接続され、自動で実績情報を送信したり、稼働監視のためのシステムと連携したりするようになっています。このことが工場のスマート化を大きく後押ししているわけですが、ネットワークが止まると工場の操業が止まってしまうリスクがあるため、オフィス内の LAN 以上に高い安定性・信頼性が求められます。
「また、生産ラインを変更したり、新しい仕組みを導入したりする際にはネットワークの変更も必要になるため、容易に変更できる柔軟性も重要です」と同社の倉野尾 祐司氏は述べます。
「スマートフォンで稼働状況をリアルタイムに確認。人の流れを分析して 生産改善に役立てる。様々なことにチャレンジしたい」
この重要なインフラとなる新工場のネットワークに同社が選定したのがシスコのクラウド管理型ネットワークソリューション「Cisco Meraki シリーズ」です。
シスコ製品という信頼性や実績が証明する安定性に加えて、同社が評価したのがクラウドを通じてCisco Meraki シリーズの全ての機器を統合的かつ容易に管理できる点です。
「例えば、ネットワークの状況を確認したり、設定変更を行ったりする場合、以前は各機器にアクセスして、ログ情報を確認したり、コマンド入力を行ったりする必要がありました。それに対してCisco Meraki シリーズならクラウド上のダッシュボードを通じて、ネットワーク構成、各機器の状況などを俯瞰したり、設定変更をしたりできます。このクラウド管理の便利さを身にしみて感じたのは、休日に地震が発生した時です。自宅にいながらすぐに工場に被害がないかを確認できました」と倉野尾氏は話します。
同社には、ネットワークスキルを持つ担当者が少なく、トラブルが発生した際には担当者不在で限られた対応となることもありました。一方、Cisco Meraki シリーズなら、外出先からクラウド経由で状況を確認することもできる上、簡単な設定変更などであれば、GUIを通じて現場担当者が行うこともできます。
「ダッシュボードは直感的で非常にわかりやすく、ネットワークに精通していない現場担当者でも操作できるという点は、工場のインフラとしては非常に大きなメリットです」と倉野尾氏は強調します。
同社は新工場のネットワーク全てを Cisco Meraki シリーズで構築。具体的には、ファイアウォールや IPS といったネットワークセキュリティ機能を統合的に備えたセキュリティアプライアンスである「Cisco Meraki MX シリーズ」、ネットワークスイッチ「Cisco Meraki MS シリーズ」、無線 LAN アクセスポイント「Cisco Meraki MR シリーズ」、そして、セキュリティカメラ「Cisco Meraki MV シリーズ」を導入しています。ネットワークを構成する機器を全て Cisco Meraki シリーズで統一したことで、ネットワーク全体を統合管理できます。
新工場には、生産設備のある工場エリアと通常業務を行うオフィスエリアがありますが、ネットワークは物理的に全て統合し、生産系ネットワークと情報系ネットワークの 2 つに論理的に分割(図)。アクセスポイントは、生産エリアとオフィスエリアの両方に配置し、どこにいても、無線 LAN が利用できるようになっています。
また、Meraki MV シリーズを使った映像伝送は広帯域が必要になりますが、それが生産に直接関係するような通信には絶対に影響を与えないよう、トラフィックを分析して最適な帯域設計を行っています。またゲスト用 SSID のアクセス制限だけでなく、社員用 SSID も Google OAuth を使用したスプラッシュページ経由でのユーザー認証を毎週実施させることで、より高いセキュリティを確保しています。
Cisco Meraki シリーズをインフラに据えた同社の新工場はすでに本格運用を開始しています。
「新工場では自動化を積極的に進めており、以前は人が中心になっていた生産プロセスの多くを自動化しています」と金剛の浜田 洋至氏は言います。
その分、人の主要な役割は設備の監視や管理、そして、生産性を向上するために改善計画の検討などに移っていますが、これらの業務で Cisco Meraki シリーズの特長が大いに役立っています。
「例えば、設備の実績情報は生産管理システムに集約されますが、担当者は PC などの前に移動しなくても、無線 LAN を通じてスマートフォンから情報を確認できます。仮にトラブルが発生しても、すぐに確認して対処でき、生産への影響を最小限に食い止めることができます」と倉野尾氏は話します。
また、Cisco MV シリーズによって、設備の稼働を映像で確認できるようになったことも大きな成果です。
カメラは完全に固定するのではなく、その都度移動させて、任意の設備の稼働映像を記録しています。「例えば、トラブルが多い設備の映像を記録しておき、トラブルが発生したら実績情報と突き合わせて、その時間帯の映像を確認。原因究明に役立てています。設備メーカーに問い合わせる際も、映像を共有することで、言葉で説明するよりもはっきりと状況を伝えられます。これにより、設備トラブルの解決にかかる時間は大きく短縮できています」と浜田氏は言います。
さらに現場担当者でもネットワークを扱いやすくなったことで、データを活用した様々なチャレンジが活発化しています。工場内の全設備の稼働状況をオフィス内のモニターに常に表示するよう
な仕組みを設置している以外にも、現場担当者が独自に「GOT(グラフィックオペレーションターミナル)」という監視ツールを開発。塗装ラインの制御盤データを基に、コンベアのスピードなどをグラフ化して可視化することで、効率的な稼働監視と生産性の向上につなげています。
加えて、データ活用の一環として、実績情報を分析し、予防保全や生産改善に向けた取り組みを進めることを検討。「今後、数年かけてデータの収集と分析を進め、人為ミスやトラブルの原因・傾向を分析していきます。その結果を基に生産ラインや人のオペレーションを改善することで、時間当たりの生産性は 30% 程度向上する見込みです」と田中氏は期待を込めます。Cisco MV シリーズは、モーションサーチ、モーションヒートマップなど、検索、分析機能を実装しており、工場内の動線分析のためのデータとして映像を有効活用できることから、分析対象に映像を加えることも検討しています。
すでに同社の取り組みは業界内でも注目を集め、新工場には毎週のように大手メーカーや行政の担当者が視察に訪れています。とはいえ、同社のチャレンジはまだ途上。受注情報と生産ラインを
シームレスに連携し、ジャストインタイムなものづくりを実現するにはどうすればよいか。今後も新工場のさらなる進化を加速させ、より高度なスマートファクトリーの実現を目指します。
「これからの製品開発は自社だけではなく、複数の企業による協業で行うケースも増えると考えています。その際、パートナーの工場と自社の工場の水準が違うことで、協業が難しくなり、ビジネスチャンスの芽をつぶしてしまうかもしれない。どんな大手メーカーと手を組むことになっても、問題ない、あるいはそれを超えるレベルのスマートファクトリー化を進めていかなければならないと考えています」と田中氏は話します。
スマートファクトリーの実現を目指しながら、地元・熊本の創造的復興に貢献しようとしている金剛のチャレンジから目が離せません。
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