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家電量販店大手のビックカメラは、次世代の店舗づくりに向け、グループ全拠点にシスコのクラウド管理ネットワークソリューション Cisco Meraki シリーズを導入するプロジェクトを進めています。先行導入した店舗では電子棚札、ライブコマースなど革新的な取り組みを実践。接続デバイスのデータの戦略的な活用にも前向きに取り組んでいます。
デジタルを活用した次世代の店舗づくりを進め、お客様に新しい買い物体験を提供する。この取り組みを支えるインフラとして Cisco Meraki シリーズは欠かせません。
株式会社ビックカメラ 執行役員 システム部長菊池 秀樹氏
「お客様第一主義」を実践し、お客様の満足と喜びのために最高のサービスを提供することを目指す家電量販店大手のビックカメラグループ。首都圏・大都市の駅前を中心に大型店舗を構える「ビックカメラ」、郊外型の「コジマ」、PC やアニメ・キャラクターグッズの買い取り・中古販売を行う「ソフマップ」の 3 つのブランドを全国に展開しています。グループ全体の店舗数は約 250 店。グループの売り上げ規模は年間 8000 億円超を誇ります。
近年、IoT や AI などの技術を活用して、新しい顧客体験やビジネスを創出する、いわゆるデジタル革新に取り組む企業が増えています。ビックカメラもまた、デジタル技術の活用に積極的に取り組んでいます。
「お客様のニーズや価値観、購買行動は大きく変化しています。その中で持続的な成長を目指すためには、お客様に新しい買い物体験を提供し、満足度向上を図ることが欠かせません」とビックカメラ 執行役員の菊池 秀樹氏は言います。
そこで同社は、オムニチャネル戦略を加速させ、次世代の店舗づくりに注力。スマホアプリを使ったクーポン配信をはじめ、様々な取り組みを進めています。
このオムニチャネル戦略において、ネットとリアルをシームレスに連動させるための重要なインフラと位置付けているのが無線 LAN です。しかし、既存の無線 LAN には課題がありました。
「店舗の規模やレイアウトによっては、電波がつながらないエリアが存在していました。また、管理面でも本部側で把握できるのはアクセスポイントが『動いているか、停止しているか』の死活監視のみ。停止していることは把握できても、原因の特定や復旧は難しく、エンジニアが現地まで出向いてサポートしなければなりませんでした」と同社の深川 純也氏は言います。
当然、その間は店舗の無線 LAN は使えないまま。情報共有や販売員同士の連絡に支障が出ると、結果的に接客サービスの質の低下につながってしまいます。「オムニチャネル化が進めば影響はさらに大きくなります。仮にトラブルがあってもすぐに復旧できることは重要な要件。お客様により良い買い物体験を提供するためには、無線 LAN の安定性・管理性の向上が必須でした」と菊池氏は続けます。
通信の安定性はもちろん、接続デバイスの様々なデータを可視化できるのが Meraki の強み。これを活用することで、デジタル変革に向けたチャレンジを加速していきたい
そこで、同社は無線 LAN のリプレースに着手。安定性と管理性の向上という 2 つの大きな要件を掲げて複数のソリューションを比較し、最終的にシスコのクラウド管理型ネットワークソリューション Cisco Meraki シリーズの採用を決めました。
「まず実績が豊富で信頼性が高い。機能面でも複数チャネルを同時に利用する『チャネルボンディング』に対応し、デバイスの性能をフルに引き出して高速な通信を実現したり、アプリケーションファイアウォール機能でアプリケーションごとの帯域制御を行ったりして、快適な無線 LAN を実現できる点を評価しました」と深川氏は選定の理由を述べます。
また、Meraki シリーズの最大の特徴であるクラウド管理も高く評価。アクセスポイントを設置すれば、あとはクラウドを通じて自動的に必要な設定が行われるゼロタッチ導入は、事前のキッティング作業を不要とし、エンジニアのいない店舗への設置を容易にします。
さらに Meraki シリーズなら、全てのアクセスポイントやスイッチをクラウドから集中管理することが可能。稼働状況を可視化できるだけでなく、障害アラートをドリルダウンして原因の究明、ping コマンドの投入、パケットキャプチャもリモートから実施できます。
「以前は難しかった本部からの一元管理が実現できます。約 250 の店舗のほか、業務センターや物流センターも含めると全国の拠点数は約 300 にものぼります。これだけの拠点を現地に出向くことなく集中管理でき、ダウンタイムを極小化できるメリットは計り知れません」(菊池氏)。
加えて、戦略的なデータ活用にも大きな期待を寄せました。
Meraki シリーズを利用すれば、どこに、どれだけの人が集まっているか、どれだけの人が、どこからどこに移動したかなど、エリア内の混雑状況や移動状況をヒートマップでリアルタイムに把握できます。「これらの情報は店舗レイアウトの最適化、より良い買い物体験の実現に向けた様々なチャレンジに必ず役立つと感じました」と菊池氏は述べます。
現在、同社は Meraki シリーズへの全社リプレースを段階的に進めており、すでに Meraki シリーズが導入された店舗では、様々なメリットを実感しています。
その 1 つであるビックカメラ町田店の川瀬 大氏は次のように語ります。
「以前はフロアの一部につながりにくいエリアがあったのですが、それが解消されました。通信スピードも最大で以前より 4 倍以上高速になり、快適な通信が可能です。販売員だけでなく、お客様にも快適にフリー Wi-Fi サービスを利用いただいています」。
注力しているオムニチャネル戦略でも、続々と新しいチャレンジが生まれています。
まず電子棚札の実現。商品名や価格を表示する値札の表示売価をリアルタイムに変更する取り組みです。
「最近は商品のスペックや価格をネットで調べて店舗に買いに来るお客様も多い。以前は来店したものの、ネットで買った方が安いと判断して買うのを躊躇されたお客様もいたかもしれません。そこで、本部側でネット通販や競合店の価格を調査し、常に価格競争力を損なわないようにリアルタイムに売価を変更するのです。割高感がなくなることで、お店の信頼が高まり、お客様に安心して買い物していただけます」と川瀬氏は話します。
この電子棚札は店舗運営にも大きなメリットをもたらしています。以前は、1 日に最低 2 回、多い時は数千アイテムの売価を手作業で変更していたからです。
「本部から示された新しい売価の値札を加工・印刷し、貼り替え作業を行う。販売員が手分けしてやっても 1 日に平均で約 3 時間はかかる大仕事でした。一方、電子棚札なら本部が一括して売価を変更してくれるので、そうした工数が一切不要。販売員の作業負担を大幅に軽減し、商品説明やご提案など接客サービスにより多くの時間を充てられるようになりました」(川瀬氏)。
ビックカメラ全店で働く販売員 3000 人のシフト作成システムの一環としても Meraki シリーズは重要な役割を担っています。
同社は、店舗や曜日、時間帯別の繁閑に応じて最適な販売員の配置計画をシステムで割り出し、シフト作成作業を自動化していますが、このシステムの導入に合わせて、販売員が休暇取得希望日を iPhone で入力できるようにしたのです。
「以前は人員不足を懸念して思うように休暇の調整ができなかったのですが、今は人員が足りていれば、希望した日に休暇を取得できます。仕事の合間に休暇申請でき、プライベートの予定も立てやすいと好評です」と川瀬氏。有給休暇の取得率がシステム導入前の約 2 倍に高まった店舗もあるといいます。
他にも Meraki シリーズを活用して、店頭実演販売をリアルタイム配信するライブコマースも実施しました。まさにネットとリアルを融合したオムニチャネル施策といえる取り組みで、家電量販店としては業界初の試みです。
実施したのは東京・有楽町の「ビックカメラ有楽町店」。コードレス回転モップクリーナーを実演販売したところ、1 日に売れる通常販売数の数十~数百倍ほどの売れ行きだったといいます。
期待した戦略的なデータ活用の面でもヒートマップの応用はもちろん、Web カメラである Meraki MV シリーズの試験運用も始めています。
「映像を分析すれば、単なる動線だけでなく、お客様がどこで立ち止まり、何に興味を示したのか、さらに詳細なお客様の行動を把握できます。このデータ分析を進めることで、商品展示方法や売り場レイアウトの最適化を図り、買い物体験の向上につなげていきたい」と深川氏は語ります。
また、スマホアプリの言語設定などのデータを活用して、外国人顧客対応の最適化も検討しています。訪日外国人の来店が増加していますが、外国語を話せる販売員は限られているため、どの店舗に、どの言語圏の販売員をどれくらい配置すべきかを正確に把握しようという試みです。
このように同社は、新たに導入した Meraki シリーズを基盤としてオムニチャネル戦略に基づく次世代店舗の実現をさらに加速しています。厳しさを増す家電量販店業界のデジタル変革をリードする同社の取り組みは、今後も大きな注目を集めそうです。
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